ゲーム依存の怖さ

ゲーム依存とは

 今年の5月、世界保健機関(WHO)が、ゲームのやり過ぎで日常生活に支障をきたす依存症を「ゲーム障害」として正式に精神疾患として認定しました。厚生労働省は中高生の90万人以上にオンラインゲームなどを含むゲーム依存の恐れがあると推計しています。
 具体的には、以下のような状態が12ヶ月以上続くとゲーム依存症が疑われるとされています。

 □ゲームをする時間や回数などを自分でコントロールできない。
 □日常生活や関心ごとよりもゲームが優先する。
 □健康や生活上の問題が起きてもゲームを続ける。
 □ゲームにより、個人、家庭、学業などに重大な支障が出ている。

 一般的に依存状態が2か月も続くと不登校や学業不振といった問題を引き起こし始めます。親が子どもの異変に気付き、精神科への診療を判断するまでがおおよそ4か月から半年ほどであるという医師の見解もあることを考えると、厚生労働省が今後、精神疾患としてのゲーム依存を判断する場合にはもっと短い依存期間でも疾病と判断する可能性は出てくるかもしれません。

実際の症例

 実際にゲーム依存に陥ってしまうとどのような状況になってしまうのでしょうか。医療機関や支援団体において、ゲーム依存の子どもを抱える保護者たちが語る実例をいくつか挙げてみます。(2019.4.28中日新聞より引用)

 《しばらくは「やめなさい」と言えば、やめていた。だが、数カ月後には夜を徹してのめり込むようになった。朝、起こそうとすると「面倒くさい」と毛布をかぶったり、「助けて」と大声で叫んだりして、登校しない日が増えた。テストの日も欠席するようになり、成績も落ちた。(中2女子)》

 《食事も取らずにゲームを続け、やせ細った。担任に相談したが、解決しなかった。私のことを「ババア」と言ったりして、ゲームで人格まで変わってしまった。(中2男子)》

 《3年ほど前、友人とのトラブルで自室に引きこもるようになった。「パソコンを買ってくれたら生活を変える」と言われて与えたが、ゲームにはまってしまう。定時制高校に進学後、1ヶ月で不登校となり、退学。(18歳男子)》

ゲーム依存にならないためのルール作り

 ゲーム依存を未然に防ぐためにも、子どもがスマホを使い始める段階で、付き合い方を親子で話し合い、守るべきルールを決めておくとよいでしょう。以下のようなポイントを参考に、最低限、使う時間と、使ってはいけない状況(食事、入浴など)は明確にし、守れなかったときにどうするかまで、本人が納得したうえで決めておくとよいと思います。

【ゲーム依存を防ぐ ルール作りのポイント】
(1)「機器は親が貸し与える」
 スマホやタブレットなどの機器は親が貸し出すという形を明確にし、一定の条件に従わない場合には返してもらう。パスワードも親が管理する。

(2)「ゲーム時間を決める」
 スマホのタイマーやロック機能を利用する。ただし、子ども自身が「なぜタイマーやロックが必要か」を理解しておくことが大切。

(3)「スマホを使ってはいけない状況を決めておく」
 ダラダラ使ってしまうことを防ぐために、食事中は使わない、風呂場には持っていかない、学校には持っていかないなどをルールにする。

(4)「お金の使い方を決める」
 ゲーム、アプリのダウンロードや課金の限度額を決めておく。 (5)「ルールは書面に残し、守れなかったときの約束を決めておく」
 守れなかったらどうするかを決めておかないと、簡単に破れるルールとなって意味がなくなってしまう。ひとつひとつを子どもと一緒に確認しながら書き、家族全員で同じルールを守ることが望ましい。

 また、子どもは大人の行動を見て真似をします。周囲の大人もゲームやスマホとの向き合い方を見直してみる必要があるといえるでしょう。特に年末年始などの長い休暇には、することもなくダラダラとゲームに走りがちです。意識して別の時間の使い方を工夫してみるなど、ゲームとリアルな生活とのバランスを考えてみてはどうでしょうか。